著者:リケジョボディビルダーMISA
現筋肉研究者、論文執筆者、元大手製薬会社R&D、パーソナルトレーナー・ピラティスインストラクター・フィットネス世界大会 日本代表経験(2023・2024年)

私がボディビルダーとして競技生活を本格的に始める頃、スポーツ栄養学の世界で最も権威のある学術団体・国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドで確認していました。
その結果として選んだのが、クレアチンモノハイドレート3g+3食のうち1食に牛肉100gと一緒に飲むというやり方です。論文のデータと自分の身体の現実を照らし合わせた上での選択でした☝️
研究者として先に文献を読み、競技者として身体で確かめる。体感があるものを続けて、それ以外は手放す。それが私のやり方です✌️
今回は最新の情報をかき集めて
結論|クレアチンで何が変わるか
- ISSNが「現在利用できる最も効果的なスポーツ栄養補助食品」と結論づけている
- ISSNが推奨する形態はクレアチンモノハイドレート一択。他の形態が優れているエビデンスは現時点にない
- 増量期・維持期・減量期、どの時期にも飲み続けるべき根拠がある
- 3g/日は時期を問わずISSNが示す推奨量のひとつ
- 単発では意味が薄い。筋肉に蓄積されて初めて効果を発揮する
- 女性への推奨量は男性と同じ(3〜5g/日)。ただし女性特有のメリットと注意点がある
クレアチンが筋肉を守る仕組み
クレアチンは「筋肉を大きくするサプリ」だと思っていませんか。正確には違います。本当の役割は、筋肉が動くためのエネルギーを素早く補充することです。
まず、身近な例で考えてみます。
スマートフォンのバッテリーを想像してください。
激しいトレーニング中、筋肉はそのバッテリー(ATP=エネルギーの単位)をものすごいスピードで消費します。問題は、再充電が間に合わないことで「もう1回できるのに力が出ない」という状態が起きること。
クレアチンは、この充電を助けるモバイルバッテリーのような存在です。

パーソナルトレーニングで追い込まれても最後の1レップまで粘れる感覚🤩それがクレアチンを手放さなかった理由の一つです。
クレアチンは体内で「ホスホクレアチン(PCr)」という形に変わり、骨格筋に蓄えられる。
運動中にエネルギー(ATP)が消費されると、このPCrが素早くリン酸を渡してATPを再合成する。要するに「バッテリーが切れかけたときに素早く電力を補給するシステム」のことです。
通常の食事だけでは、このモバイルバッテリーは容量の60〜80%しか充電されていないので(Hultman et al., 1996; Harris et al., 1992)、適切な補給で20〜40%上積みできます。
ISSNのポジション声明:「クレアチンモノハイドレートは現在利用できる最も効果的なスポーツ栄養補助食品である」(Kreider et al., 2017)。
参考文献:Kreider RB, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18.
科学的に正しい飲み方(ISSNより)
早く効かせたい場合(ローディング法)
最初の5〜7日間: 体重×0.3gを1日4回に分けて飲む
例)体重50kgなら1日15g → 1回3.75g×4回
その後ずっと: 1日3〜5g
クレアチンのローディング後に高強度・反復運動のパフォーマンスが10〜20%向上することが示されています(Kreider et al., 2017)。最初の数日で体重が0.5〜1kg増えることがありますが、筋肉の中に水分が増えるためで脂肪ではありません。
体重の変動を最小限にしたい場合(ノンローディング法)
クレアチンモノハイドレート3g/日を28日間続ける。
ISSNはこれを正式な手順(プロトコル)として明記しています(Kreider et al., 2017)。
クレアチンは単発で飲んでも意味が薄いのです。蓄積されて初めて効果を発揮するため、毎日続けることが絶対的な前提です。
クレアチンの摂取をやめた場合、筋肉内のクレアチン量が元に戻るまで4〜6週間かかる(Kreider et al., 2017)。身体がクレアチンを自分で作る力が長期的に落ちるという証拠はないため、長く続けることをためらう必要はないようです。
より効果的に吸収させるタイミング
タンパク質または糖質と一緒に飲むと、クレアチンが筋肉に取り込まれやすくなります(Green et al., 1996; Steenge et al., 2000)。なおISSNは、この同時摂取がクレアチンモノハイドレート単独と比べてパフォーマンスをさらに高めるかどうかについては、現時点で確証がないとも述べています(Kreider et al., 2017, Position 6)。
【時期別】ISSNのデータを整理する
ISSNのポジションスタンドは「増量期」「維持期」「減量期」という時期の概念では書かれていません。ただし記載されているデータをトレーニングの文脈で整理すると、どの時期にもクレアチンを続ける根拠が見えてきます。
増量期|トレーニングの質を最大化する
ISSNのパフォーマンスデータは、十分な栄養がある増量期のトレーニングに最も当てはまります。
以下はISSNが報告しているデータで、増量期のトレーニングに直接活かせます(Kreider et al., 2017)。
なおISSNはこれらを「増量期向け」として分類しているわけではなく、運動パフォーマンス全般に関するデータとして記載しています。
パフォーマンスの向上
クレアチンのローディング後、高強度・反復運動のパフォーマンスが10〜20%向上する。「あと1回」「あと1セット」の積み重ねが、長期的な筋肉合成の刺激を大きくするとのことです。
グリコーゲン合成の促進
糖質と同時摂取でグリコーゲン(筋肉の燃料タンク)の充填効率が上がることが報告されています(Green et al., 1996)。
筋力・筋肉量の増加
クレアチンを補給したグループはトレーニング中の筋力・筋肉量の増加が優れていたことが複数の研究で示されています(Kreider et al., 2017)。
参考文献:Kreider RB, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18.

増量期のクレアチンは「もう1回(1rep)できる身体をつくる」ための投資。トレーニングの質が上がれば、同じ食事量でも筋肉への刺激は変わります👩⚕️
維持期|続ける根拠はISSNにある
ISSNは生涯を通じた3g/日の摂取を推奨しており、これが時期を問わずクレアチンを続ける最も強い根拠になります。
ISSNのポジションスタンドには、こんな記述があります(Kreider et al., 2017)。なおISSNはこれらを「維持期向け」として分類しているわけではなく、生涯にわたる健康維持に関するデータとして記載しています。
生涯を通じた摂取推奨
「加齢とともに1日約3gのクレアチンを摂ることが健康上の観点から推奨される」(Wallimann et al., 2011より)
認知機能・精神疲労への効果
クレアチンの補給は脳のクレアチン含量を5〜15%増加させ、認知機能の向上や精神的疲労の軽減に効果があることが示されています(Watanabe et al., 2002; Rae et al., 2003)。
参考文献:Kreider RB, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18.

「大会がないからやめる」は損です。維持期のクレアチンは、次のシーズンへの準備でもあります。筋肉はいつ刺激が来てもいいように、常に満タンに保っておきたい💪
減量期こそクレアチンを|筋肉を守る最も重要な時期
食事を減らすと、身体は「燃料が足りない」と判断します。そのとき起きる厄介なことが一つある。自分の筋肉を燃料として使い始めてしまうのです。
せっかく積み上げた筋肉が、カロリー不足のたびに削られていく——これが、多くの女性が減量で悩む「体重は落ちたのに、引き締まらない」の正体です。
クレアチンはこの「筋肉の自食い」を防ぐ、2つの働きをします。
働き①|ダメージを受けた筋肉の回復を早める

パーソナルトレーニングで脚を追い込まれると、通常は中2-3日の回復が必要になります。でもクレアチンをローディングしていた減量期は、栄養が足りていない状況でも、次の脚トレまでに完全に回復できていました👏
以下の研究はすべてクレアチン補給に関するデータだ。これらの研究は必ずしもカロリー制限下のみを対象としたものではないが、クレアチンが持つ細胞修復・エネルギー代謝の仕組みは、減量中であっても変わらず身体の中で機能する(Kreider et al., 2017)。
筋力の回復スピードが速かった
クレアチンを摂ったグループは脚の筋力が元に戻るまでの時間が短く、回復2〜7日後の「筋肉の傷つき度を示す血液値」が約84%低かった。
(Cooke et al., 2009)
筋肉の炎症が抑えられた
30kmのレース後、クレアチンを摂っていたグループでは炎症を引き起こす物質の数値が大幅に低かった。(Santos et al., 2004)
追い込みの多い時期でもパフォーマンスを維持できた
練習量が多い期間中、クレアチンを摂ったグループは通常なら下がってしまうパフォーマンスを維持できた。(Volek et al., 2004)
参考文献:Kreider RB, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18.
働き②|減量中の貴重な食事を、筋肉に届きやすくする
クレアチンには「タンパク質や糖質と一緒に摂ると、筋肉の奥まで届きやすくなる」という性質があります(Green et al., 1996; Steenge et al., 2000)。

減量中にクレアチンをやめるということは、筋肉を守る盾を自ら手放すことになると思うので、減量期でも継続して摂取していました✨私が毎食のうち1回、牛肉100gと一緒にクレアチンモノハイドレートを飲んでいた理由も、ここにあります。
私のプロトコルをISSNで照合した
ISSNを確認した上でクレアチンモノハイドレート3gと牛肉というプロトコルを選び、国際大会2年連続でそれを実践してきました。研究者として文献を読み、競技者として身体で確かめる—この結果を整理して、備忘録として残しつつシェアすることが、この記事を書く理由でもあります。
| 私の選択 | ISSNの推奨 | 結果 | |
|---|---|---|---|
| 種類 | クレアチンモノハイドレート | クレアチンモノハイドレート | ✅ |
| 1日の量 | 3g | 3〜5g または3g×28日 | ✅ |
| タイミング | タンパク質(牛肉100g)と一緒 | タンパク質または糖質と一緒 | ✅ |
牛肉(生)100gにはクレアチンが約0.4〜0.5g含まれています(Balsom et al., 1994; Brosnan & Brosnan, 2016)。食事由来も合わせると1日約3.5g前後を摂っていた計算になります。
クレアチンの筋肉への取り込みを促進するには、インスリンの分泌が鍵になります(Green et al., 1996; Steenge et al., 2000)。大量の糖質でインスリンを急上昇させる方法も有効ですが、減量期にその選択は現実的ではない時もあります。
私が牛肉100gを選んだのには、ボディビルダーとしての明確な理由があります。
①タンパク質によるインスリン刺激
牛肉のタンパク質は、着実なインスリン分泌を促す。減量中の貴重なPFCバランスを崩さずに、クレアチンの取り込みを助けられる。
②天然のクレアチン源
牛肉100gには約0.4〜0.5gのクレアチンが含まれており、サプリと食事由来を合算することで自然に摂取量を確保できる。
③一石三鳥の食事選択
筋肉合成のためのタンパク質・クレアチンの自然な供給源・吸収促進の三役を、1回の食事で担える。
参考文献:Green AL, et al. Am J Physiol. 1996;271(5):E821–6.

減量期間中、すごく空腹が強いときの牛肉がとてつもなくうまく感じる😊牛肉たべると血管がバチバチと浮き出てくる感じが最高です💛たった100gやけど、満足感がしっかりでます💪
女性のクレアチン、正直に話します
女性ボディビルダーとして、そしてパーソナルトレーナーとして多くの女性の身体変化を見てきた立場から、正直に書きます。
摂取量は男性と同じ
2023年のISSN女性アスリートポジションスタンド(Sims et al., 2023)は、クレアチンの推奨摂取量について明確に述べています。「現時点では、男女で同じ量が推奨されている。ローディングとして1日約20g(1日4回に分割、5日間)、その後3〜5g/日が標準的なやり方である」
ただし、女性特有の特徴がある
同論文によると、女性は男性より70〜80%低い内因性筋ホスホクレアチン貯蔵量を持つが、安静時の筋クレアチン濃度は約10%高い。このことから、「補給によってより大きな効果が期待できる可能性がある」と述べている(Sims et al., 2023)。
月経周期との関連
同論文は、クレアチンキナーゼの変動が月経周期のエストロゲンパタ-ンと連動することを示している。また黄体期のクレアチン補給が、筋タンパク質合成・炎症管理・酸化ストレス軽減において有効である可能性が示唆されているが、原著研究での検証が必要とされている(Sims et al., 2023)。
閉経後女性には高用量が有効
閉経後女性は骨の健康・メンタルヘルス・骨格筋の機能において、より高用量(0.3 g/kg/日)から恩恵を受けることが示されている(Sims et al., 2023, Position 8)。
認知・パフォーマンスへの効果
クレアチンは筋力向上だけでなく、「energetic and cognitive outcomes(エネルギー代謝と認知機能)」においても女性に有益であることが報告されている(Sims et al., 2023)。
参考文献:Kreider RB, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18., Sims ST, et al. J Int Soc Sports Nutr. 2023;20:1, 2204066.

2023年のISSN女性アスリート声明が示すように、女性はベースラインのクレアチン貯蔵量が低いぶん、補給の恩恵がより大きい可能性がある。だからこそ、飲み続けることに意味があると思います👩⚕️
Q. クレアチンを飲むと腎臓を壊すって本当?
健康な人であれば、クレアチンモノハイドレートを長期間(最大30g/日・最長5年間)飲み続けても腎臓への悪影響は確認されていません(Kreider et al., 2017)。もともと腎臓の病気がある場合は、飲む前に医師に相談することをすすめます。
Q. 飲み始めたら体重が増えました。やめるべき?
最初の数日の体重増加(0.5〜1kg)は筋肉の中に水分が増えるためで脂肪ではありません(Kreider et al., 2017)。ノンローディング法(クレアチンモノハイドレート3g/日)を選べばこの変動もほとんど起きません。
Q. 飲み始めてすぐ効果が出ますか?
すぐには出ません。ノンローディング法(3g/日)の場合、筋肉が満タンになるまで3〜4週間かかります。単発で飲んでも効果は期待できないため、毎日続けることが大前提です(Kreider et al., 2017)。
Q. バッファード型や新型クレアチンのほうが効きますか?
ISSNのポジション声明はこう明記しています:「クレアチンモノハイドレートは最も広範に研究され、最も臨床的に有効な形態である」。他の形態が優れているという根拠は示されていません(Kreider et al., 2017)。
Q. 女性の摂取量は男性と違いますか?
現時点では男女で同じ量が推奨されています(3〜5g/日)。ただし閉経後女性は骨密度・筋機能への効果のため、より高用量(0.3 g/kg/日)が有益とされています(Sims et al., 2023)。
Q. 増量期・維持期・減量期で飲む量を変えるべきですか?
ISSNは時期によって用量を変える推奨をしていません。どの時期も通常の維持量(クレアチンモノハイドレート3〜5g/日)を継続することが現在のデータに基づく答えです(Kreider et al., 2017)。
まとめ
増量期・維持期・減量期——どの時期にもクレアチンを続ける理由があります。
ISSNのポジションスタンドで確認し、国際大会2年連続の減量期でそれを実践してきました。クレアチンモノハイドレート3g、牛肉100gと一緒に。長い減量期におけるトレーニングで最後のワンレップまでトレーニングをやり遂げたのも、この選択が正しかったことの証明だと思っています。
研究者として文献を読み、競技者として身体で確かめる。それが私のやり方です✌️では👋
| # | 著者 | タイトル | 雑誌・年 |
|---|---|---|---|
| 1 | Kreider RB, et al. | ISSN position stand: safety and efficacy of creatine supplementation | J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18 |
| 2 | Sims ST, et al. | ISSN position stand: nutritional concerns of the female athlete | J Int Soc Sports Nutr. 2023;20:1, 2204066 |
| 3 | Hultman E, et al. | Muscle creatine loading in men | J Appl Physiol. 1996;81(1):232–7 |
| 4 | Harris RC, et al. | Elevation of creatine in resting and exercised muscle | Clin Sci (Lond). 1992;83(3):367–74 |
| 5 | Green AL, et al. | Carbohydrate ingestion augments skeletal muscle creatine accumulation | Am J Physiol. 1996;271(5):E821–6 |
| 6 | Steenge GR, et al. | Protein- and carbohydrate-induced augmentation of creatine retention | J Appl Physiol. 2000;89(3):1165–71 |
| 7 | Cooke MB, et al. | Creatine supplementation enhances muscle force recovery | J Int Soc Sports Nutr. 2009;6:13 |
| 8 | Santos RV, et al. | Creatine upon inflammatory markers after a 30km race | Life Sci. 2004;75(16):1917–24 |
| 9 | Volek JS, et al. | Creatine on muscular performance during overreaching | Eur J Appl Physiol. 2004;91(5-6):628–37 |
| 10 | Balsom PD, et al. | Creatine in humans with special reference to creatine supplementation | Sports Med. 1994;18(4):268–80 |
| 11 | Brosnan ME, Brosnan JT. | The role of dietary creatine | Amino Acids. 2016;48(8):1785–91 |
| 12 | Chilibeck PD, et al. | Effects of creatine and resistance training on bone health in postmenopausal women | Med Sci Sports Exerc. 2015;47(8):1587–95 |
| 13 | Watanabe A, et al. | Effects of creatine on mental fatigue and cerebral hemoglobin oxygenation | Neurosci Res. 2002;42(4):279–85 |
| 14 | Rae C, et al. | Oral creatine monohydrate supplementation improves brain performance | Proc Biol Sci. 2003;270(1529):2147–50 |
主文献DOI:
- https://doi.org/10.1186/s12970-017-0173-z(Kreider et al., 2017)
- https://doi.org/10.1080/15502783.2023.2204066(Sims et al., 2023)




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